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『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』 [Cinema]

※映画の感想・評論(もどき)の文章では基本的にストーリーに触れる部分があるため未見の方はご注意を。

2006年アメリカ
監督:ゴア・ヴァービンスキー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ
評価:★★★★☆

今週公開されたが、観たのは先週の先行上映で。3連休だからか映画館全体が混んでいたけれど、中でもこの作品の人気は凄かった。

事前に前作を観ようかとも考えたのだけれど、時間もなく、続編とはいえ前作は引きずってないだろうとの憶測の元、まあいかと結局記憶だけを頼りに鑑賞。

結論としては、やっぱり観ておくべきだったかな、と。もちろん前作の詳細を覚えていなくても楽しめるのだが、細かい点がわかっていた方が、もっともっと楽しかったのではないかと思うのだ。今日つい今しがた前作を見直してそう思った。
 


 
前作を製作していた時に、続編のことを考慮には入れていないと思うのだけれど、何となく細かいところでつながる描写やセリフがあるので見逃せない。まず、冒頭のウィル少年が助け出されるところで破壊されている船は真ん中から2つに割れていた。当時はブラック・パールに襲われて破壊されたと単純にはそう思ったのだが、2作目を観てからでは、あれはクラーケンに襲われたものではないだろうかという描写に変わって見える。それから「海の藻屑と消える…うんぬん」というセリフをがあるのだが、そこでは「デイヴィ・ジョーンズ…なんたら」と喋っている。しかし字幕ではその辺が全くフォローされていない。だから細かいところはわからないけれど、つながる用語はあるってことだ。まあ、続編が決まっていたわけでもなく、ましてや“デイヴィ・ジョーンズ”が何なのかは前作では語られていないので、字幕で省略するのは仕方ないかも知れないけれどね。

┌───────────────────────────────────┐
 [追記]
 英語ができないことを露呈してしまいました。
 Davy Jonesとはそもそも「海の悪霊」のことを言うそうで、
 「Davy Jones's locker」で「海の墓場」を意味し、さらには
 「be lost to Davy Jones's locker」で「海の藻屑と消える」の慣用句
 になっているようです。あー、恥ずかし。
└───────────────────────────────────┘

いずれにしても前作を観た今だからこそもう一度新作を観てみたいのだ。

さて、その新作の感想。まずはタイトルがダメ。個人的に何でもかんでも原題をカタカナ表記にする今のタイトル付けは嫌いなのだ。メインタイトルだって『カリブの海賊』でいいじゃないか。けれど前作はサブタイトルは『呪われた海賊たち』としていたので、まだよかった。でも今回は『デッドマンズ・チェスト』だよ。なんだよそれ。雰囲気が出ないじゃない。もう少し考えて欲しかったのになあ。

で、内容について。正直言って完結しないとは思わなかった。3作目まで作られるのは知っていたけれど、各作品で別々のエピソードになっていると思っていたから、3本をつながった話にするとは考えていなかったのだ。なので、ウィルの父親が出てきたことにまず驚いたし、ストーリーの展開がやや遅いので、これで話が終わらせられるのかと思っていたら、やっぱり未完で終わってしまった。そういう意味では消化不良の作品とも言えなくもない。けれど『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』や『バック・テュ・ザ・フューチャー2』がそうだったように、頭を切り換えて、長いエピソードの途中の作品と思えばまあ仕方ないかなと理解もできる。そう、まさにこの2つのシリーズものと一緒なんだよね。1作目はヒットするかどうかわからないから、そこで完結するように作るけれど、爆発的な人気で続編の製作が決まると、前作の要素をちょっとずつ取りながらストーリーを展開し、2、3作目を公開するという、その形。そうやってみると、3作全部を通して評価した方がいいのかも知れない。

ビジュアル表現はかなりいい。デイヴィ・ジョーンズは気持ち悪いし、アクションの迫力は凄い。不自然なワイヤーアクションのようなものも感じられないし、その点は満足。音響も良し。

また前作は意外にサウンドトラックのCDがヒットしたらしいが、今回音楽を担当したのは、前作のクラウス・バデルトの師匠ともいうべきハンス・ジマー。前作でも監修をしていたそうだし、オスカー受賞者のお手並み拝見と期待していたのに、こればっかりは期待はずれだ。なんだか変にゴージャスな音になってはいるのに、その音がオーケストレーションによるものではなくってシンセサイザーで膨らませた音なんだよね。だから、帆船が海を進む場面でバッチリ合っていた前作の雰囲気が、今回はやや画面から浮き気味に感じた。これはショック。音楽には特に期待していたので残念だなあ。
 

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト オリジナル・サウンドトラック(2万枚限定生産)(DVD付)

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト オリジナル・サウンドトラック(2万枚限定生産)(DVD付)

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2006/07/19
  • メディア: CD


 
いずれにしても、笑いも取れる場面も多く、全体としての完成度は高い。ただ、若干上映時間が長く、冗長な感じもするので、それは3作目もあるための弊害なのか、演出上の問題なのか、いずれにしてもその点はもう少しキレのあるメリハリある構成が必要だったのではなかろうか。ジョニー・デップが相変わらず楽しんで演じているのがよくわかる。次回作を楽しみに待ちたい。その前にもう一度観ないとね。たぶん細かい発見がありそうな気がするので。


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