やっと終わった「1ポンドの福音」 [Comic / Animation]
フラッと立ち寄った書店で高橋留美子の「1ポンドの福音」の4巻を発見。早速購入した。
最初の発売されたのは一体いつだったのか。基本的に漫画雑誌は購入せず、単行本しか買わないので、どのような形で連載が進んでいるのかわからないのだ。調べたらもともと不定期連載だったみたいだ。
高橋留美子の漫画は、サンデーに連載されたものは、かなり長編になり、しかもドタバタコメディーであることが多く、はまれば面白いのだろうが、だんだんそろそろストーリーを収束してもいいんじゃなかろうかと思い始めてきて途中で飽きてしまうのであまり好きではなく、やはりなんといっても「めぞん一刻」のように主筋の明確な中にギャグが盛り込まれた物語の方が面白いと思うのだ。
で、この「1ポンドの福音」は「めぞん一刻」の跡を継ぐ漫画になると当時期待していたのだけれど、どうも徐々に物語が進むにつれていろいろと気になる部分が出てきたような気がするのだ。まずシスターの存在。本当の修道女がどのような修行をして、かつ世間と接触を持つのかわからないが、かなり曖昧な描き方をしていて、たぶんこうじゃなかろうかというイメージの世界のような印象さえ受けるのだ。
そして肝心のボクシングについてもそうで、いわゆるボクシング漫画で描かれているようなステレオタイプのボクシングジムとコーチという世界から離れることはなく、ベースとなる舞台設定にリアリティがなく、いくら何でもあんまりだなという部分が多いのだ。確かにギャグマンガなんだからリアリティは不要かもしれないけれど、基本が本物の上にギャグを乗せるからこそ面白いのであって、そうでないなら全く架空世界のお話しになってしまうのではないだろうか。ストーリー運びのアプローチにも若干の古さを感じるし、3巻まで進んだところで既に少々の期待はずれを感じていたものだった。
それでもまだ一縷の望みというか、何か引き込まれる展開になっていくのではないかという淡い期待をしていたのだけれど、続きが出ないまま月日だけが経っていってしまったのである。
そんな状態でずっと放置された作品の新巻だ。当初持っていた一応の期待を持ちながらページを開いたら、あまりの絵の違いに愕然。「犬夜叉」など最近の高橋留美子作品を見ていなかったから知らなかったが、いったいいつからこんなに絵が下手になったのか。いや、もともとそれほどピシッとした線の絵を描く作家ではなかったし、デッサンもものすごく乗ずという感じではなかったと思うが、もう少しメリハリのある線で表情豊かなキャラクターを描いていて、物語にのめり込ませる力を持っていたと思うのだけれど、コレは本当にショックだった。
ストーリーも何とか単行本1冊で完結させようという筋運びだけが先に立ってしまい、引き込む程のものでもないし驚きもない。
長く待った作品だっただけにちょっと残念だった。
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