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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』 [Cinema]

※映画の感想・評論(もどき)の文章では基本的にストーリーに触れる部分があるため未見の方はご注意を。

2008年アメリカ
監督:スティーブン・スピルバーグ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス/キャスリーン・ケネディ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ハリソン・フォード/ケイト・ブランシェット/シャイア・ラブーフ/カレン・アレン/レイ・ウィンストン/ジョン・ハート/ジム・ブロードベント
評価:★★★☆☆

「インディ・ジョーンズ」シリーズの待望の最新作が公開された。いや、公開は来週なのだが、さまざまな情報に毒される前に見ておこうと思ったので、先行上映の初日初回に見に行った。それだけ期待していたということでもある。

シリーズの第1作が公開された時はまだ中学生だった。公開当時はどうやら三部作で作られるらしいという話は確かにあったものの、続くシリーズがここまでの人気シリーズになるとはこの作品からは誰も想像しなかったのではないだろうか。一般的にはやはり何か冒険活劇というものに対してやや取っつきにくさがあったのかもしれない。正月映画として公開され、今考えれば興行収入ランキングのトップを独走状態であったろうと思うのだが、実際にはオールスター映画の『キャノンボール』に負けていたのである。爆発的な人気が出たのは2作目からで、状況としては『ターミネーター』や『ダイ・ハード』と同じような感じであったのだ。
 
インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》

インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

 
自分自身も当時はまだ監督の名前で映画を見るということはしていなかったので、ただ、『スター・ウォーズ』の監督と『未知との遭遇』の監督が何かすごいものを創ったんだという程度の認識しかなかった。そして映画の人気も今述べたようなものである。すごい映画を見に行くのだ、というような過度の期待は持っていなかった。むしろそれが良かったようだ。

内容に関しては、個人的にはこのシリーズの中で、もっとも面白い作品であると思っている。初見の印象はとにかく畳み掛けるような見せ場の連続に手に汗握って気が付いたら終わっていたといった感じである。立ち見だったのだけど、そんなことを全く意識させないくらい画面に釘付けだった。

一方でただのアクション映画というだけでなく、またSFの宇宙もののように全く現実から離れてもいず、考古学という神秘的な部分を持つ分野がテーマとなっていて、これもかなり新鮮であった。ハリソン・フォードははまり役だし、ジョン・ウイリアムスの音楽もオスカーこそ取ってはいないが、彼の最高傑作とも言える出来映えで、サントラを聴くと映像が浮かんでくるほどである。

そんな風に1作目からのめり込んだシリーズが、2作目はジェットコースタームービーとして見ている時間は楽しんだけれど、考古学の教授という部分が弱まり、ただの冒険家のアクションストーリーになってしまったなあと思ったし、3作目はショーン・コネリーの登場に期待したものの、当時のオプチカル合成技術の限界だったか、色々視覚的に気になる面もあったり、ストーリーも謎解きがかなりのテンポで進んでワクワク感に欠けたり、そのくせ戦車のバトルのシーンが異常に長く感じたり、アンバランスな印象を持ったものだった。

今回の新作は、そんな3作目から19年ぶり。撮影技術も格段に進歩している。何度も脚本を書き換えられたというし、ハリソン・フォードの年齢は気になるものの、期待が自ずと高まるのも致し方なし、だ。

見ていて今回はかなり第1作の『レイダース/失われた《聖櫃》』を意識しているのが分かった。冒頭のパラマウント・ピクチャーズの山の絵からオーバーラップする始まり方は過去3作共通なものの、タイトルの書体などは1作目と同じように白い縁取りのものだった。また、冒頭の1エピソードの後、大学の外観から授業中のジョーンズ教授の場面へと展開していく流れも同様だし、なによりカレン・アレン演じるマリオン・レイブンウッドが再登場するのが嬉しい。しかも登場時のインディに向かって「インディアナ・ジョーンズ」と名前を呼ぶ言い方も同じだ。彼女はジョーンズの恩師であるレイブンウッド教授の娘で、10代の頃に恋に落ちたという設定で『レイダース』で再会。一緒に冒険をする羽目になるという流れだったし、それだけのキャラクターがその後いろいろないきさつがあるにせよ、以後のシリーズ作品に全く登場しなかったことに違和感はあった。だからマリオンが必要と脚本のデビッド・コープが提案したということだが、「さすがわかってるね!」と思った。

にもかかわらず、鑑賞中、なんだかいろいろな違和感を感じたのはなぜだろう。インディの年老いた風貌のせい? う〜ん、それはそんなに気にならなかったなあ。なんだろうね…。

一番はやっぱり核実験の場面かな。時代感を表現したかったのかもしれないけど、別に爆発させる必要はなかったよね。あの人形の置かれた作り物の街並みと「ネバダ」という地名で何が起ころうとしているかは分かるし。いくら荒唐無稽でも冷蔵庫で助かるとは思えない。あんなに吹き飛ばされて。しかもまだキノコ雲が見える時にあの位置で外に出ちゃったら相当量の被爆をしているはずだ。そういう現実感覚で見ちゃいけない映画なのかもしれないけれど、オカルト的な部分ならいくらでも荒唐無稽にしてもいいけれど、ことは原爆だよ。なんかしっくりこなかった。

それと既に亡くなった(という設定で)父親とマーカスの写真を見て懐かしむというシーンがあったにもかかわらず、その直後にマーカスの銅像の首が転がるショットは笑えるものではなかった。同じ場面でインディも笑ってなかったけど、笑ってないインディを見て笑えってこと? どうしてあんなショットを入れたのだろうかねえ…。

前半のそうした気になる点が尾を引いたせいか、後半も純粋に楽しむだけで映画を見れなくなっていった。ジャングル内でのカーチェイスも、何となく派手な割には『レイダース』の発掘地からカイロまでのカーチェイスシーン(中でもインディがトラックにムチ1本で引きずられたりする場面など)に比べると、ハラハラ感や、その危機を乗り越えた時の高揚感も薄く、物足りないと感じた。

で、まあ肝心のクリスタル・スカルの謎の部分で、オカルトに宇宙の文明はつきものだと思うし、そのアイデア自体はまあいかなと。そんなに気にはならなかった。けれど、ケイト・ブランシェット演じるところのイリーナの役どころがよく分からなかった。彼女があそこまで熱心なのはスターリンのため?自分のため? ソ連が国としてどこまで絡んでいるの? アメリカが国としてその行動を阻止したいのか、単にジョーンズが私事としてそこに巻き込まれただけなのか、その辺の曖昧さが見ている自分の立ち位置も何となく不安定にさせていたように思うのだ。

ただし、自分のことでいうと若干体調が良くなかったというのもある。こういう精神状態で見たから純粋に楽しめなかった点もあったかもしれない。けれど気になった点はあまり変わらなかったかもなあとも思う。

好きなシリーズだけど、辛口の採点。もう一度見たらもう少し変わるかな。続編もまだできそうな終わり方だったけどどうなんだろう。

#あと関係ないけれどインディがどこかの場面で「I have a bad feeling about this」と言っていたけれど、これって「スター・ウォーズ」シリーズでは定番の台詞で確かハン・ソロも言っていたと思う。特に意味のない普通の表現なのかもしれないけれど、ジョージ・ルーカスも脚本に加わっているんだし、お遊びとして意識して入れたのかな。
 
インディ・ジョーンズ アドベンチャー・コレクション (期間限定生産)

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

 
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 オリジナル・サウンドトラック

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  • アーティスト: ジョン・ウィリアムズ,サントラ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2008/06/06
  • メディア: CD

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