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Audi TT Coupé 2.0 TFSI 12ヶ月点検とAudi A5 3.2 FSI quattro試乗[その2] [Car]

[その1]からの続きである。

昼過ぎになってTTの点検受け渡しの約束の17時過ぎまでお借りしたA5 3.2 FSI quattroを走り尽くそうと思って車に乗り込む。

インテリジェントキーなのでキーは持ったままエンジンのスターターボタンを押す。このボタンの位置は少し気になる。左ハンドルの仕様のままらしく、シフトレバーの左側、つまり助手席側に位置しているのだ。A6では右ハンドル用に位置を左右反転させているというから、これは明らかにA4、A5ではそのためのコストを抑えたということなのだろうな、と想像される。助手席に人が乗っていたら少々気になる位置だし、いっそのこと他のメーカーなどで多いインパネにボタンがあっても良かったろうに…と思った。

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実はその代わりとなるようなものはあるにはあるのだ。インパネにはキーを先込めるところがあって、底に差し込んでさらに奥までグイッと押し込むとエンジンがかかるのだ。うーん、キーの置き場を考えるとこれはこれでありだと思う。けれどインテリジェントキーはキーを例えばポケットに入れているだけでドアロックも解除できるので、そのままキーを出さずにエンジンがかけられるスターターボタンがあるのも確かに便利だ。でも両方あるのも無駄な気もするし…。もともとがどういう意図で両方の機能を設けたのかなあ。

さてエンジンがかかっていざ出発なのだが、サイドブレーキが電子式なので、これもややとまどってしまう。解除しても解除できたのかどうか不安な気持ちでアクセルを踏むという感じで、慣れなのだろうが気になった。もちろん解除しなくてもアクセルを踏むと自動で解除されるというのだから余計な心配なのだろうけど。

いよいよ出発。まずは青梅街道を都心方面に向かう。

先ほど自宅に向かって走った時と同様で、こうした街乗りの幹線道路ではコンフォートが乗り心地良くていい。3.2Lの余裕あるエンジンもあいまって、運転する気持ちにゆとりが生まれるような気がする。ただし、これは昨年A4 3.2 FSI quattro exclusive lineをお借りして乗った時にも思ったことなのだが、トルコン式のATの感覚がどうも馴染まないのだ。[その1]で書いたようにクリープが大きいことのメリットももちろんある。けれどそのクリープの大きさのために、出だしのブレーキペダルから足を離そうとした時のやや大きめの前に出ようとするショックと、完全停止しようとする時のガクッというショックがどうにもこうにも最後まで慣れなかったのだ。A3、TTと2年間Sトロニックの車に乗ってきたことで、足がもうSトロニック用の動きになっちゃっているんだろうか。だからまあこれは車のせいでも何でもないのだけれど、今はもうSトロニックの方がいいかな。Q5では3.2LモデルでもSトロニックなので、今後A5でもSトロニックになったりするのだろうか。

環八が混んでいるとイヤなので、八丁の交差点から杉並の住宅街へと入る。あまり広くはない道だが、幅1,840mmのTTに慣れたせいもあるのだろうA5の1,855mmの横幅もそれほど神経を使わずに運転できた。見切りが悪くないからというのもあるだろう。このあたりの道路でこれならまあ日常的にそんなに困ることはないのではないだろうか。けれど昔ながらの幅が狭く境界線が二重になっていないような駐車場では2ドアの大きな扉では乗り降りに困ることもあるだろうけど。TTでもそうだし。

この街中の走行時でのオンボードコンピュータに表示されていた燃費はおよそ6km/Lを少し超える程度。ちなみにその後の高速走行をした後では10〜11km/L程度。平均燃費でその前の一般道走行時のものも含まれているから3.2Lエンジンでは優秀な方なのかな。2.0TFSIのTTでは街中の渋滞でかなりのストップアンドゴーを強いられている時でも6〜7km/L、順調に走って止まるのは信号程度だと10km/Lはいくからなあ。

長めのドライブになると思ったのでCDを2枚持ってきた。もう10年以上は聴いている自分には馴染みのロックとジャズのCDだ。最初にジャズのCDを聴いてみたけれど、バング&オルフセンのサウンドシステムのオプションが付いていないにもかかわらず、かなり音がよい。音場再生力があるというか、演奏している楽器の空間を感じられる。それだけ車内が静かだというのもあるのだろうけど、車のなでこれならよっぽどのマニアでない限り十分ではないだろうか。ロックのアルバムを聴いた時もそうだけれどちょうど左右の音の中心が自分の左耳のあたりで定位している感じがするのだ。これってきっちり左右のスピーカーからの音がしっかりバランスよく出ているということだろう。いやこれはなかなか良かった。ただしFMを聴いた時はちょっと残念。低域が強すぎて耳が疲れる。もしかするとこのデモカーが何かそういう設定になっていただけなのかもしれないのだけれど。

次に高井戸から首都高に乗り新宿方面へ。首都高の細かい継ぎ目はコンフォートではやや揺れが大きいか。これも[その1]で書いたけれど、左右の揺れによるうねりを少し感じる。フワフワといつまでも揺れているという国産高級車にありがちな揺れではないのだけれど、なんとなく落ち着かない感じもする。そこでダイナミックにしてみるとゴツゴツはするのだけれど段差の突き上げに関しては一瞬で収束して非常に安定した走りとなる。この方が首都高のようなところでは向いているかな。けれどシフトがSモード仕様になるために、せっかくの高速なのに6速ではなくギヤが一段落ちて5速になるのはいただけない。もちろん、この設定はワインディングなどを走行するためのものだろうと思うし、そうした道なら足を固めて低めのギヤを選ぶというのは間違ってないのだろう。高速道路では燃費もあるしシフトは通常のセッティングの方がいいかな。となるとやはり高速仕様にインディビジュアルで設定しないとダメかも。

西新宿JCTから高速中央環状線へ。この道を走るのは初めて。ここはトンネルだし道路の継ぎ目もないし、アスファルトも新しいのでドライブセレクトはコンフォートでも問題ない。むしろコンフォートの方がよい。車内もものすごく静かだし、車の挙動も安定して快適そのもの。ここで窓を開けてみたのだがトンネルに反響するエンジン音や排気音もうるさく感じない。このあたりはスポーティな車であっても大人の落ち着いた車という味付けなのだろうなあ。

その後、5号池袋線から美女木JCTで外環道に入り、大泉JCTで関越道へ。ここからは一気に高速モード。とても落ち着いてどっしりした走りで長距離でも疲れないグランドツアラーという印象。それにしても3.2Lのゆとりはこういうところでも発揮されて、高回転にまでまわってもエンジン音がそれほど大きくならないし、太いトルクでquattroの4輪にかかる蹴る力がグイグイ押し進めるので、気付いたらこんな速度なの?というところに達していて、なんというかさすがドイツの車だなあという感じである。でもそこで無理した走りをしないでゆとりを持って走り続けるのがこの車には合っているのではないかな、とも思った。

三芳PAで少し休憩。近くに白いBMWの3シリーズ クーペが止まっていた。ちょうどA5のライバルに当たる車だ。3シリーズの中では一番格好いいのではないだろうか。これまでパサートを購入した時には3シリーズセダンを、A3を購入した時には1シリーズを一応候補にもと考えたのだけれども、一度もショールームにも行かなかったし、ましてや試乗もしなかったBMWだが、A5に乗って横にある3シリーズ クーペを見ると、あれは一度は乗ってみたいなあという気持ちにさせられたから不思議だ。ただ、個人的にはあまり数走ってない車が好きだし、車好きがいろいろといじっちゃっているような車のイメージが強いBMWなので、現実的な選択肢には入りにくいなあと思う自分も一方ではいるのだけど。

さてラストスパート。鶴ヶ島JCTから圏央道に入り、八王子JCTで中央道に。そして都心へと向かう。気持ちにゆとりを感じるドライブというのはいいものだ。もし今年の春先に仙台を往復した時にTTではなくA5だったら、もうちょっと精神的な疲労感は違っていたかもしれないな、と思う。TTは運転自体は楽しいけれど少し神経を使うところがあるのも確か。それがまたドライビングの楽しさにもつながっているしTTの良さでもあるから悩ましいところなのだが。しかもシートはいいから肉体的な疲労はそれほどでもないし。両車の違いはあくまでも気持ちのゆとりの部分なのだろう。

正直に書くともう少し、おおこれは!と心揺すられる驚きを期待していた面はあるんだけど、それはなかった。でもものすごく高い次元でいい車なんだなというのはわかった。ただ最近は重めの車というのが自分に合っているかどうかがちょっとよくわからなくて、もう少し年を重ねると3.2Lの方がいいなあと思えるのかもしれないが、今の自分の好みでは2.0Lの方が軽快な感じでいいかも。まあ重いといってもエンジンの重さによる頭の重さというのはそれほどは感じなかった。むしろ車全体がどっしりと重いという感じかな。それは走り出しや交差点を曲がる時などのハンドリングに顕著に感じられ、高速走行時はむしろその重さが安定感につながっていていいと思ったんだけど、いつかA5の2.0 TFSIにも乗ってその辺は比較してみたいなと思う。もしA5 Sportbackで2.0が設定されたら真っ先に試乗したいなあ。

だから去年のように購入1年でA3からTTに乗り換えたような出来事は今年はない。これは断言できる。実は去年はちょっとA3に対して若干ネガティブな面が少しチラチラ見えてきていたということも重なったので、より一層TTが輝いて見えたというのがあるのだけれども、今回はTTの良さをまだまだ感じているし、それを覆すほどのA5の良さというのが見えなかったからだ。しばらくはTTを堪能したいと思う。それでもし、TTの車検の時、あるいは5年くらい乗ってそろそろ次かなあと思った時の候補車にはA5はなり得るだろうな、と思う。もちろんその頃にはまた別の新しい車種が気になっているかもしれないのだが…。

さて1つ失敗したことがあって、このA5は標準でETCのユニットが付いていたんだね。それを知らなかったので、高速での料金の支払いをETCカードを手渡しで行ったのだ。で、これもまた知らなかったのだけど、休日の特別割引はETCカードで払うだけではダメで、ETCの通信でゲートをくぐらないと対象にならないんだよね。おかげで余分な高速代を支払うことになってしまって、自分のうっかりとはいえやっぱり今回のETC限定の割引サービスってこうしてみるといかに不公正なやり方かということをはからずも実感してしまった。ハァ…。

ということでディーラーに到着。A5を返却しTTを受け取る。フリーウェイプランでオイル交換とワイパーブレード交換をしただけで不具合箇所は特になかった。

実は今回、しばらくTTとのお付き合いをしていこうとの決意もあってちょっとしたドレスアップを依頼していたのだった。ひとつはスポーツテールパイプフィニッシャー。
 
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もうひとつはフットレストカバー。
 
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まあいずれもTTのドレスアップとしてはかなりベーシックなもの。エアロパーツはイヤだけど、これくらいなら自己満足だけどいいかなって思ったのだ。マフラーのテールエンドは標準がスパッと斜めに切り落としたもので、これはこれでもスポーツカーとしての荒々しさも感じられて悪くはないと思うけれど、ちょっと車格に合ってない感じも受けるのでクローム仕立てのパイプフィニッシャーはその点を引き立ててくれるかなと思う。一方のフットレストカバーは見た目の問題もあるけれど、乗ってビックリ、かなり左足がガッチリ収まるので運転時に体が安定する気がした。特にA5から乗り換えた時に、A5の奥まって届きにくいフットレストの後だったから余計にそう感じたのもしれない。

こうして長い時間他の車に乗ると自分の車の良さもよくわかっていいね。けれど今回A5がダメってわけではなくて、とてもいい車なんだというのは実感できたわけだし、その意味でもアウディってデザインも今一番自分の好みでもあるし、先進技術を惜しみなくつぎ込んでくるし、いいメーカーなんだなあとあらためて思ったのだった。




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u4

2.0 TFSIは今年もエンジンオブザイヤーを獲っているほどのエンジンなので、A5との組み合わせでもきっと素晴らしいバランスなのではないでしょうか。

by u4 (2009-06-28 17:58) 

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