「幻夜」東野圭吾 著 [Book]
このブログで本のことを書くのはものすごく久しぶりのような気がする。というか“Book”のカテゴリーで3件目の記事なんだね。
さて、東野圭吾の「幻夜」を読み終わった。文庫本になってからも結構経つので今更という感じでもあるのだけれど、読みたかったのに読む機会を逸していたというか、手に取らないまま時間だけが経っていて、たまたま正月休み中に書店に寄ってうろうろしながら目に付いたので、あ、これ読もうと購入したのだった。
この作品は東野圭吾の代表作の「白夜行」の続編ともパラレルストーリーとも言われている。その「白夜行」はドラマをまず観て、それから原作を読んだ。原作ファンからはかなりドラマが不評だったという話は聞いていたけれど、その理由は分かる気がした。原作の小説は実に巧みに亮司と雪穂の関係を明確にしないまま、その外側で起きているさまざまな出来事を追うことで、何が起きているのかを暗示させる構成で、読後にう〜んと唸らされるくらいとても楽しめる作品だったからだ。
しかし一方でそれをそのまま映像化するのはさすがに難しいだろうなとも思った。特にこれが映画ならストーリーを一気に追えるけれども、連続ドラマとなるとなんだか分からなくなってしまう心配があり、事件の背景を明示しつつ亮司と雪穂の行動を直接描かざるを得なかったのではないだろうか。
ただ一方でどのような理由があろうとも犯罪を犯す主人公に共感は得にくいだろうし、あそこまでの行動をしてしまうと同情も生まれにくいだろう。その点で批判が多いのもわからないでもない。ただ少なくとも自分にとってはあのドラマがあってこそ「白夜行」原作を読みたいと思わせてくれたのでもあり、結局最終回まで引き込まれるドラマであったことは間違いない。
で、その関連作品としての「幻夜」はいったいどんな話なのか、全く予備知識無しに読み進めると、これがまた途中で中断するのもはばかられるくらい次の展開が気になる作品であった。寝る前に読んでいたので前半はキリのいいところで止めて数日かけて読んでいたのだけれど、中盤くらいのところから「白夜行」の関連作品であるということをほのめかすキーワードなどがちらちら出始めたところからもう止めることはできなくなって、今日一気に読了したのだった。
しかし読後感は正直言って「白夜行」より悪い。面白い小説を読んだという達成感はあるのだけれど、どうも気持ちが晴れないのはなぜなのか。やはり「白夜行」での亮司と雪穂は仲間で、離れていてもお互い生きていくために相手のことを想ってさまざまなことに対処してきたという感じが見て取れた訳なのだけれど、「幻夜」の美冬と雅也では、明らかに雅也は美冬に利用されていたという設定で、そこが哀しくやりきれなさを残すせいなのだろうと思う。
それと曽我殺害場面の描写など、決して気持ちのよくない描写などもあって、その点でも「白夜行」とはあきらかに趣が異なっているのだ。ただそれでも張り巡らされた伏線を紐解いていくように一気に読ませる作品の力は確かにあったと言える。
でもこのまま終わらせて欲しくはないかな。雪穂=美冬というのが明確になっているわけではないけれど、この女性のこの先の人生がどうなっていったのかを是非読んでみたいと思う。
さて、東野圭吾の「幻夜」を読み終わった。文庫本になってからも結構経つので今更という感じでもあるのだけれど、読みたかったのに読む機会を逸していたというか、手に取らないまま時間だけが経っていて、たまたま正月休み中に書店に寄ってうろうろしながら目に付いたので、あ、これ読もうと購入したのだった。
この作品は東野圭吾の代表作の「白夜行」の続編ともパラレルストーリーとも言われている。その「白夜行」はドラマをまず観て、それから原作を読んだ。原作ファンからはかなりドラマが不評だったという話は聞いていたけれど、その理由は分かる気がした。原作の小説は実に巧みに亮司と雪穂の関係を明確にしないまま、その外側で起きているさまざまな出来事を追うことで、何が起きているのかを暗示させる構成で、読後にう〜んと唸らされるくらいとても楽しめる作品だったからだ。
しかし一方でそれをそのまま映像化するのはさすがに難しいだろうなとも思った。特にこれが映画ならストーリーを一気に追えるけれども、連続ドラマとなるとなんだか分からなくなってしまう心配があり、事件の背景を明示しつつ亮司と雪穂の行動を直接描かざるを得なかったのではないだろうか。
ただ一方でどのような理由があろうとも犯罪を犯す主人公に共感は得にくいだろうし、あそこまでの行動をしてしまうと同情も生まれにくいだろう。その点で批判が多いのもわからないでもない。ただ少なくとも自分にとってはあのドラマがあってこそ「白夜行」原作を読みたいと思わせてくれたのでもあり、結局最終回まで引き込まれるドラマであったことは間違いない。
で、その関連作品としての「幻夜」はいったいどんな話なのか、全く予備知識無しに読み進めると、これがまた途中で中断するのもはばかられるくらい次の展開が気になる作品であった。寝る前に読んでいたので前半はキリのいいところで止めて数日かけて読んでいたのだけれど、中盤くらいのところから「白夜行」の関連作品であるということをほのめかすキーワードなどがちらちら出始めたところからもう止めることはできなくなって、今日一気に読了したのだった。
しかし読後感は正直言って「白夜行」より悪い。面白い小説を読んだという達成感はあるのだけれど、どうも気持ちが晴れないのはなぜなのか。やはり「白夜行」での亮司と雪穂は仲間で、離れていてもお互い生きていくために相手のことを想ってさまざまなことに対処してきたという感じが見て取れた訳なのだけれど、「幻夜」の美冬と雅也では、明らかに雅也は美冬に利用されていたという設定で、そこが哀しくやりきれなさを残すせいなのだろうと思う。
それと曽我殺害場面の描写など、決して気持ちのよくない描写などもあって、その点でも「白夜行」とはあきらかに趣が異なっているのだ。ただそれでも張り巡らされた伏線を紐解いていくように一気に読ませる作品の力は確かにあったと言える。
でもこのまま終わらせて欲しくはないかな。雪穂=美冬というのが明確になっているわけではないけれど、この女性のこの先の人生がどうなっていったのかを是非読んでみたいと思う。
2009-01-11 23:56
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