サンタさんありがとう [This and that]
さすがに12月も10日を過ぎると世の中クリスマスムードがかなりあふれ出してきた。
今日の毎日新聞の夕刊で以前知人にもいい本だよと勧められていた「サンタクロースっているんでしょうか?」という本の紹介が掲載されていたのを読んで、大分前の話だけれども思い出したことがあるのでそのことについてちょっと書いてみようと思う。
大学の4年間、地元のマクドナルドでアルバイトをしていた。決して高い時給ではなかったが、家から近いことや職場環境がよかったこともあって、ずっと1箇所でバイトをしていた。
このマクドナルドは幹線道路沿いのドライブスルーのあるお店だったので、平日はお昼時でも特にものすごく混み合うということはなかったのだけれども、近所に幼稚園があって、そこは水曜日がお弁当がない日だったので、水曜日に限っては、お昼は親子で激しい混雑ぶりとなっていた。
ある年にそうした親子をターゲットにしてクリスマスパーティーを企画しようということになった。食事にケーキが付いておみやげとなるおもちゃも付けて、バースデーパーティの時に行うようなゲームなどもやってみようかという内容だった。ただ、それでは新味に欠けるし面白くないということで、やっぱりクリスマスパーティーなら、そのおみやげのおもちゃはサンタクロースから渡されるべきではないか、で、ついでにそのサンタと一緒に写真が撮れちゃうっていうのはどうだろうか、などという形で内容はどんどんふくらんでいった。
あとは開催日。24日では家庭でパーティーを行うだろうから、25日に行うこととなった。
そしてそのサンタクロースを私が演じることとなってしまったのである。衣装も東急ハンズで購入。おみやげのおもちゃを袋に詰めて、準備万端、ついにその日を迎えることとなった。
参加してくれた子供たちはかなり年齢が低く、幼稚園に通っているか、またはこれから幼稚園に通うかくらいの年齢の子が多かった。一人一人に声をかけながらおもちゃを渡していたその時、3歳くらいのひとりの男の子が「サンタさん、きのうプレゼントありがとう」と言ったのだ。最初はなんのことか分からなかった。なぜなら今渡したおもちゃのお礼ではなく“昨日”のお礼だからだ。だが直ぐにその意味を理解できた。昨日はクリスマスイブだ。ということは今朝この子の枕元にはサンタさんからのプレゼントがあったわけだ。そのお礼だったのだ。
今でこそ甥や姪の小さい頃を見ているので、子供との接し方は分かるのだが、当時はさすがにそのような突然のことにどういうことを言えばいいのかとっさには思い浮かばなかったため、ただ精一杯ニッコリ笑ってその子の頭をなでた記憶がある。
あれから10年以上たってしまった。その子はいつまでサンタクロースからのプレゼントに喜んでいただろうか。
その催しの締めくくりはサンタさんと一緒に写真を撮ろうというもので、撮った写真も参加者へのプレゼントとしたはずだが、自分が演じたサンタがその子たちのアルバムに収まっているとすれば、とても嬉しいことである。
サンタがいると純粋に信じていて、25日の朝、枕元に欲しかった「野球盤」が置いてあったことで大喜びをした小学生の頃をふと思い出した。
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