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『タッチ』 [Cinema]

※映画の感想・評論(もどき)の文章では基本的にストーリーに触れる部分があるため未見の方はご注意を。

2005年『タッチ』製作委員会
監督:犬童一心
脚本:山室有紀子
原作:あだち充
出演:長澤まさみ/斉藤祥太/斉藤慶太/RIKIYA/若槻千夏/徳井優/生田智子/本田博太郎/小日向文世/風吹ジュン/宅麻伸
評価:★★★☆☆

原作の連載中に中学時代を過ごした者にとっては思い出深い作品であることに間違いはない。主役の1人がストーリーの途中で死んでしまうというのも当時はかなりの衝撃であった。

タッチ (1)

タッチ (1)

  • 作者: あだち 充
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: -

原作漫画に思い入れがあるほど、その後のアニメには全くと言っていいほど関心がなかった、絵の違いに愕然としたし、声のイメージに違和感を禁じ得なかった。

今回、映画のパンフレットで原作者と監督の対談の中でくしくも原作者がその理由を言い当てているのだが、アニメは漫画に似た絵が動くということに対する違和感がどうしてもあるということなのだろう。

で、今回の映画。実写映画であれば同じストーリーであっても別物として見ることができる。これはまさにそういう映画だった。以前テレビドラマ化された「H2」について批判的な記事を書いたけれども、その二の舞を演じるのではないかという心配をよそに非常に爽やかな青春映画になっていたのが印象的であった。

しかもどこか懐かしく感じられたのだけれど、どうも監督は長澤まさみを主役として80年代のアイドル映画のような作品としたようなのだ。確かにあの頃の角川映画などの空気をどことなく感じる。とにかく長澤まさみの魅力がいっぱいだからだ。それでもそれよりもより見終わった後の印象がいいのは、原作の持つ青春ストーリーの良さなのだろうと思う。

もちろん原作ファンとして不満が全くないとは言えない。あそこはああして欲しかった、もっとあの場面にはああいう間が欲しかったなど、言い出せばきりがないほどだ。しかし長丁場の原作をあの形にまでまとめたのだから。それだけでも良しとすべきなのだろう。

けれどひとつだけ。やっぱり達也が和也の死後野球を始めるのは、和也に代わって南を甲子園に連れて行くためだったわけで、でも和也は和也、達也は達也、そのことに気付いた最後の一球は、やっぱり和也と達也の勝負だったのだと思うのだ。だけど映画では和也と達也が力を合わせて新田に勝ったようになってしまった。そこが達也が何で野球を始めたのかの理由が薄まって見える要因なのかなと思う。ここは惜しい。

┌───────────────────────────────────┐
 [追記]
 こういう文章を記憶で書いてはいけませんね。
 和也と達也の「勝負」という投球は、須見工との練習試合で新田を三振に
 打ち取ったときのものでした。3年の予選決勝の最後の1球は、達也に和也が
 ちからを貸したかのような表現になってましたね。
 その点では映画の表現は間違っていなかったようです。
└───────────────────────────────────┘

あとストーリーとは別のことでは、製作に日本テレビが関わっているためか、甲子園大会の主催が当然架空の新聞社となってしまったこと。さらにそのためかどうかは分からないけれど、西東京大会の決勝が神宮なのは正しいとしても球場の中が別の球場でのロケとなっていたのも気になったかな。神宮のスコアボードにはフジテレビの広告もあるしね。パンフレットでは監督が芝のあるスタンドがいいんだってことで選んだって言っているけれど、それは後付の理由だろうと思う。そうでなければわざわざ神宮にしなければいいのだ。原作だって本来とは違って東京を南北に分けて予選しているんだし。

┌───────────────────────────────────┐
 [追記]
 原作の「タッチ」では南北に分けていませんでした。
 明青高校は東東京代表ですね。南北に分けているのは「H2」の方でした。
└───────────────────────────────────┘

それから府中から走ってバスに乗って神宮に間に合っちゃうっていう地理感もねえ…。近くに住んでいるとどうもねえ。実在の地名を出すならそういうところには気を遣うべきじゃないのかなあ。

そういう細かい気になる点はあるものの、爽やか青春映画の良作となったことは間違いないだろう。

タッチ スペシャル・エディション

タッチ スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/03/24
  • メディア: DVD

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