SSブログ

The Art of Disney:ディズニー・アート展 [Cinema]

見に行かなきゃ、行かなきゃと思っていて、ようやく最終日前日になって見に行けた東京都現代美術館で開催中の「ディズニー・アート展」。平日でも混んでいるとは噂には聞いていたけれど、さすがにもう終わるからだろうか、ものすごい混みっぷりだった。

午後2時半過ぎくらいに現地到着。車を駐車場に入れるのに20分は待たされて、その後チケット買ってから入場まで130分待ち! ディズニーランドのアトラクションかよっ!ファストパスないの?とか言いたくなるような状態だった。実際には130分も待たずに、1時間ちょっとくらいで場内には入れたけどね。

さて、今回の展示は千葉大学で『眠れる森の美女』を中心としたディズニーの初期の作品の原画や背景画などが見つかったことに端を発する。

45年間の眠りから目覚めたディズニー幻の原画250点 工学部内にて発見

実際には「発見」というのはおかしいのかも。なぜなら一部の関係者はこの存在を知っていたが故に、これまで保存場所を変えながらも大事にしまわれてきていたのだから。ただそれを知っている人が少なかっただけということなのだろう。そしてあまりにも長い年月が経ったことによって、当のディズニー本社にとってもそれらが非常に貴重な存在になったということなのだ。

保存状態がいいとはいえ、やはり傷みもあったこれらの作品をディズニー本社で修復し、日本でお披露目しようということになり、それらに加えてディズニー本社にも眠る貴重な作品たちを集めた形で展覧会を開催することとなったのだ。

修復されたにしても、やっぱりセル画は結構傷んでいたように感じた。古い時代のものだからトレースもゼロックスを使わず、すべてペンで描かれたものだけれど、そのトレース線が消えていて、裏から塗った色のみしか見えていないものもあった。でもそのトレース線がしっかり残ったものでは、これだけの細かい描写を24コマのフルアニメで描ききっているなんて本当に凄いなあとため息が出るばかりだった。

一方で、とあるイラストレーターさんのBlogでも読んでいたので期待していたのだけれど、背景画の素晴らしさも息を呑む程だった。中心となって展示されていた『眠れる森の美女』の背景画では、アイヴァンド・アールの描く森の木々の描写が凄まじく、徐々に描き込まれていくステップを解説した絵も展示されていたが、あれを見たところでマネのできるものではとてもないくらい(そりゃそうだ)。

普通の油彩の美術絵画などでは、かなり大きなキャンバスに描かれているものがほとんどなので、例えば本に印刷されているものでは結構精密に見えたものでも、実物は意外と太い筆を使っているんだなあと思うようなものもあるわけだけれど、アニメの背景画はそもそものサイズがかなり小さい。そしてその小さいものを相当大きく拡大してスクリーンに投影するのだから、描き混まれる精密さは半端なものではない。その『眠れる森の美女』の森の描写だって木肌の描き混みなどを見るとクラクラしてしまう程だし、雲の描写でもCGのない時代にCGで描いたかのような微妙なボケ足のグラデーションを恐らくエアブラシで丹念に描いていて、木、葉、石、土、水、布などの素材感の出し方にはただただ圧倒されるばかりだ。

一方でメアリー・ブレアの描くイマジネーション豊かなコンセプト・アートも、これが映画の元となったものとして日の目も見ずに埋もれてしまうのは全く惜しいくらいの素晴らしい作品群だった。

そしてそしてナイン・オールドメンの面々の原画は、惚れ惚れとするくらい生き生きとキャラクターが描かれており、数枚連続して見れば当然だけども、1枚だけ見ても、今にも動き出しそうな表情と身体の描写で、鉛筆のタッチも滑らかで、これぞディスニーアニメーションの神髄だなあという印象だった。

細かいことを書けばきりがないが、とにかくムダひとつない展示ばかりで、もっと早くに足を運んで、何回も見に行けば良かったと今さらながらに後悔しても後の祭り。それでも約3時間(「蒸気船ウィリー」など映像作品のいくつかは持っているので見ないでとばしてきたから、その分は短いかも知れないが)じっくり堪能できたので、お腹いっぱい満足、満足。長く待たされても終わってみればそんなことなどすっかり忘れてしまっているくらい充実した1日となった。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。