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『Love Letter』 [Cinema]

※映画の感想・評論(もどき)の文章では基本的にストーリーに触れる部分があるため未見の方はご注意を。

1995年フジテレビジョン
監督:岩井俊二
脚本:岩井俊二
撮影:篠田昇
出演:中山美穂/豊川悦司/范文雀/篠原勝之/酒井美紀/柏原崇/鈴木蘭々/塩見三省/加賀まり子
評価:★★★★☆

F1日本グランプリの予選をCS放送で見終えて、チャンネルを変えたら懐かしい『Love Letter』を放送していたので、つい最後まで見てしまった。

この映画が公開された当時は、聞いたこともない新人監督だし、なによりフジテレビが制作で中山美穂が主演じゃあ、どうせ安普請のテレビドラマのようなものでしょ、と見もしないのにそんなことを勝手に考えていたので映画館に行くなんてことはあろうはずもなかった。

その後しばらくして、確かWOWOWで放送されたものをようやく見たのだと思う。そして当初そんな風に遠ざけていた自分を愚かだったなあと思い知ることとなったのだ。

面白かった。とても面白かった。穏やかな映画のテンポだけれど、その穏やかさが決してダレることなく最後まで画面に引きつけてやまない力強さを持っているのだ。中盤くらいまでの謎解きのような物語の展開と中山美穂が二役だとあまりわからずモヤモヤした感じで話は進み、そしてようやくそのことが解決してからふたりの「藤井樹」の物語へと進むあたりから切なくノスタルジックな青春映画へと変貌し、同時に、身近な愛する人の死を受け入れるという話も並行して進む。

この愛する人への別れのラブレターともいえる早朝の山に向かっての中山美穂の「お元気ですか」の叫びは、最初気恥ずかしさを感じなくもないのだけれど、何度も何度も同じフレーズを叫びながらその声が嗚咽に変わっていく時、その気持ちが本物となって、そして映画冒頭の亡くなった恋人にあてた手紙ともあいまって、一層見るものの胸をえぐるような気持ちにさせるのだ。この場面は今日も涙が自然とあふれてきた。

中山美穂はテレビドラマではあんまり上手だとも思わなかったし好きではなかったけれど、この作品の自然な演技はとっても魅力的だ。藤井樹と渡辺博子の二役をしっかり演じ分けているとも思う。

さて本当は、こうした話の流れだと女性の方がグッとくる映画だといえるのだろうけれど、ラストシーンにはやられてしまった。気になる女の子がいてもうまく話せないし、ましてや告白なんて、という時代に、その思いの丈を似顔絵としてあらわす。柏原崇が演じる藤井樹少年の淡く切ない気持ちが、貸し出しカードの裏に描かれた似顔絵に凝縮されていて、見ているこちらも一気にそんな中学高校時代へタイムスリップしちゃうような気持ちにさせられ、またまた涙してしまうのだ。

最近、とみに涙腺が弱いので、今日も見ながらボロボロだった。岩井俊二は本当にこういうタイプの映画が一番いいかな。『花とアリス』もそうだけどね。

Love Letter

Love Letter

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2001/03/07
  • メディア: DVD

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